盗賊宗八の葬儀に現れた火の車の怪物
どんな伝承か
東春日井郡篠木村、いまの春日井市の関田に、むかし篠木宗八というすごい盗賊がいた。多くの手下を従え、村はもとより近郷近在を荒し回って人々を悩ませていたが、延徳三年の夏、はやり病で急死した。大草村の福厳寺二代住職盛禅和尚が導師となって葬儀が行われ、いま引導を渡そうというとき、にわかに黒雲が広がって激しい雷雨となり、そのなかから火の車に乗った怪物が現れて襲いかかった。人々は色を失ったが、盛禅和尚は少しも動ぜず一心に読経を続けたので、怪物は退散し、天候もまもなく晴れ渡った。宗八を埋めた跡には今も曽呂利塚が残り、雨の降る晩など、内津川の堤防を曽呂利が提灯をともして歩いてゆくと言い伝えられている。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
愛知県伝説集(福田祥男・1961年(昭和36年))
『愛知県伝説集』は、福田祥男が昭和三十六年に著した愛知県の伝説集である。尾張・三河の山や海、淵や池、地蔵と観音、石や塚、城跡、地名、動物と変化、植物、祟りと怨霊などにまつわる言い伝えを、原型に忠実に再現することをめざして平易な文で語り直し、話の末に郡市名を添える。山の伝説から其の他の伝説まで十五の部に分け、あとがきでは前年に出した『愛知県伝説集・虹と黒潮』を全面的に改稿し増補したと記す。