おたのもうすと三度唱える沓野山の窪
どんな伝承か
沓野村に婿養子として来た與兵衛は、山仕事に不慣れなまま村人について山へ入り、大木を切り倒した際にその下敷きになってしまった。「おたのもうす、おたのもうす」と苦しい声で助けを求めたが誰も気づかず、そのまま息絶えた。それ以来、この山に入る者は「おたのもうす」と三回唱えて頼まなければ方向がわからなくなり山奥に迷い込んで出て来られなくなるといい、その一帯は「おたのもうすの窪」と呼ばれるようになった。沓野山七不思議の第一とされる。
原典より
「おたのもうす、おたのもうす」と苦しい声を張り上げて助けを求めたが、誰も気づかなかったのか助けに来る人はなく、與兵衛はついに息絶えてしまった。—— 信州七不思議(降幡利治・1984年(昭和59年)) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
信州七不思議(降幡利治・1984年(昭和59年))
『信州七不思議』は、降幡利治が昭和五十九年に著した信州各地の七不思議を集めた本である。諏訪大社上社と下社の御神渡りや筒粥に始まり、松原湖、生島足島神社、川中島古戦場、志賀高原、浄光寺、雲上寺、立石など県内各地に伝わる七不思議を、町村誌などの資料と聞き取りをもとに記す。各地の七つの事柄を箇条に掲げて関わる社寺や史跡の解説を添えるガイド風の構成で、序では越後の人が信州人の気質を評した七不思議を紹介する。