狐が晦日に田を植えた十二月田
どんな伝承か
川口の十二月田という地名の由来には狐がかかわる。『新編武蔵風土記稿』は、十二月の晦日に狐がやってきて杉の葉で田植えの真似ごとをした、それがこの村の名の起こりだ、という奇怪な説を載せている。地元には杉葉ではなく穂のついたままの稲を植えたのだという伝えもあり、十二月田の田中道造が持っていた文書にそう書かれていたともいうが、その文書は今は残らない。狐を田の神の使いとみる信仰の痕跡と解されている。
原典より
十二月田地名について、『新記』は「十二月晦日狐来りて杉葉を以て田を植るさまをなせしより此村名起れりと云ふ奇怪の説なり」と記してある。—— 埼玉県伝説集成——分類と解説 中(韮塚一三郎・埼玉県伝説集成・昭和40年代刊(中巻・歴史伝説)) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
埼玉県伝説集成——分類と解説 中(韮塚一三郎・埼玉県伝説集成・昭和40年代刊(中巻・歴史伝説))
韮塚一三郎『埼玉県伝説集成——分類と解説 中』(歴史伝説の巻)を全608話・伝説(土地別の異伝)単位で収録(<解説>・[参考]・和歌・注は本文に内包)。埼玉県下の歴史伝説(塚・城址・古戦場・武将〈新田義貞・畠山重忠・太田道灌ら〉・史跡・寺社縁起等)を、所在地(市町村・字・社寺)と出典(新編武蔵風土記稿・各市町村史等)を付して体系的に集成した中巻。