大般若経六百巻を埋めた柏崎の二本松
どんな伝承か
東松山市柏崎の旧道に二本松と呼ばれた松があり、いまは一本だけが残っている。その根元には大般若経六百巻が埋まっていると言い伝えられる。経塚を築いたのは、将軍秀忠の頃に野本地方に暮らした分限者の安曇昌成だという。昌成はある時、旅の行脚僧に一夜の宿を貸し、弥陀信仰の話を聞いて深く心を動かされ、大般若経六百巻を写す願を立てた。十三年をかけて書き上げると塚を築き、その上に二本の松を植えた。のちに子孫が延享甲子の年に供養の碑を、昭和十四年には成川氏一族が三百年忌の供養塔を建てている。
原典より
この松の根元には、大般若経六百巻が埋められていると言い伝えられている。—— 埼玉県伝説集成——分類と解説 中(韮塚一三郎・埼玉県伝説集成) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
埼玉県伝説集成——分類と解説 中(韮塚一三郎・埼玉県伝説集成)
『埼玉県伝説集成——分類と解説 中』は、韮塚一三郎が編んだ埼玉県の伝説集の中巻で、上中下三巻のうち歴史伝説を収める。地名・屋敷・家系・聖地・城や堤や橋・神仏・神体と宝物・偉業・事件と紛争の九章に分け、県内各地の伝説を『新篇武蔵風土記稿』などの文献と土地の人からの聞き取りによって集めている。一話ごとに所在地と出典または資料提供者を記し、同じ類型の話をまとめた後に柳田国男らの説を引く〈解説〉を置く。