狐罠で罰金を取られた一軒屋の老人
どんな伝承か
沢の一軒屋に住む老人は、飼犬が年をとって役に立たなくなったので、横浜のアベ商店から取り寄せた機械で狐を捕っていた。二月にその機械で狐を二匹捕り、すぐ町へ持って行って売った。それが法に触れると知り、子に金を使わせるのも忍びない、自分もまだ達者だから稼いで来ると言うと、七十にもなってそんなことをさせたくないと言われ、五十円を出してくれた。分けて出してもよいと教えられたが面倒なので皆持って行くと、顔なじみの巡査が書付を書いてくれ、機械と五十円で済んだ。よくできた機械はもう無いだろうと惜しまれたという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
定本柳田国男集 第2巻(柳田国男・定本柳田国男集)
『定本柳田国男集 第2巻』は、柳田国男の紀行と旅の随筆を収めた著作集の一巻である。昭和三年一月の自序に続く「雪国の春」や菅江真澄の日記を読み解く文をはじめ、東北の村々の正月、火と炭、浜の暮らしの見聞、「秋風帖」「東国古道記」、昭和十五年十一月の自序を持つ「豆の葉と太陽」などの紀行を並べる。峠や古道、佐渡・五箇山・熊野などの土地を、住む人の暮らしと信仰から見ようとする文が多い。