働く女たちの緋色のかぶり物
どんな伝承か
鹿角郡などの最も草深い田舎を歩くと、華やかな笑い声よりも先に目に入るのは、働く女たちの緋色や牡丹色などのかぶり物である。全身を現して路を歩いて来るのを見ると、袖口でも腰巻でも、北地へ行くほど彩色が島に近くなる。こうして若い人の注意を引きつけようとするほかに、自分がまず緑の圧迫に堪えられないから、何とかして彩ってみる気になるのかもしれない。それが無意識ながら広い天然と調和して、夏の淋しさを和らげ、また女性を欠くべからざるものにしたかと思われる。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
定本柳田国男集 第2巻(柳田国男・定本柳田国男集)
柳田国男編『定本柳田国男集 第2巻』を全331話・伝説(1見出し=1話)単位で収録(緒言・序・名義・解説・和歌・注は除外/内包)。所在地(郡村区・社寺)を付して集成。