松林の道で荷車に轢かれた馬方の子
どんな伝承か
石巻から出た自動車が、丘の麓の道を曲がって渡波の松林にさしかかろうとしたとき、遠くに人と馬と荷車の一団が斜めに横たわって休んでいるのが見えた。と思う瞬間、その馬が首を回し、車を牽いたまま横道へ飛び込んだ。小学校を出たばかりかと思われる小さな馬方が、綱を手にしたまま転んだと見たときには、もう荷車の後輪の一つが、ちょうどその腹の上を軋って通り過ぎていた。それでも子供は真っ直ぐに立ち、三足ほど馬を追い、振り返って一瞬こちらを見て、腹を両手で押さえてまた倒れた。反対側の輪に力がかかっていたとも、路面に深い凹みがあってその中に転んでいたからともいい、はっきりしない。病院に連れて行かれ、そのときは助かったという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
定本柳田国男集 第2巻(柳田国男・定本柳田国男集)
柳田国男編『定本柳田国男集 第2巻』を全331話・伝説(1見出し=1話)単位で収録(緒言・序・名義・解説・和歌・注は除外/内包)。所在地(郡村区・社寺)を付して集成。