終電の隣に座った血まみれの男
どんな伝承か
著者が信を置く友人から聞いた話である。その人は赤電車の終電に乗り、桜田門から桜田町へ向かっていた。乗客は自分ひとりで、運転台の近くに腰かけていた。交叉点に差しかかると車掌がポールを外し、車内が暗くなる。ふたたび架線に触れて明るくなった瞬間、すぐ横に男が座っており、腰から脚にかけて血がついているのが見えた。もう一度暗転して明るくなったときには、車内はもとどおり自分ひとりだった。車掌に話すと、事故の多い場所ですから時々ありますと事もなげに答えたという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
科学的教養(小泉丹・小泉丹・科学論・昭和(戦中))
生物学者・小泉丹『科学的教養』(戦中刊)。国民の科学性とは科学知識の普及ではなく科学的態度であるとし、科学的・非科学的の境界を吟味したうえで、怪異談を科学的に検討する。