旧家が旧暦十月に営む一軸の祭
どんな伝承か
カバカハとは、この古い一軸を掛けて村の旧家で毎年営む祭の名だという人もあった。その祭はほとんど例外もなく旧暦の十月に行われた。一家一族のほかに、かご子などと名づけて、この日は必ず来て拝をせねばならぬ人々があった。しかも寺の僧はこれに与らないので、御正体は仏号である場合にも、祭の式には宅神祭の名残かと思う古い形をとどめていた。遠野の盆地などではカバカハはむしろ異名で、通例はオクナイサマと称えている。オシラ神とオクナイ神とは深い関係があるように思われる。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
定本柳田国男集 第2巻(柳田国男・定本柳田国男集)
『定本柳田国男集 第2巻』は、柳田国男の紀行と旅の随筆を収めた著作集の一巻である。昭和三年一月の自序に続く「雪国の春」や菅江真澄の日記を読み解く文をはじめ、東北の村々の正月、火と炭、浜の暮らしの見聞、「秋風帖」「東国古道記」、昭和十五年十一月の自序を持つ「豆の葉と太陽」などの紀行を並べる。峠や古道、佐渡・五箇山・熊野などの土地を、住む人の暮らしと信仰から見ようとする文が多い。