田植を手伝った泥足の小僧
どんな伝承か
オクナイサマを祭れば幸が多いという。土淵村大字柏崎の長者阿部氏は、村では田園の家と呼ばれる。ある年、この家で田植の人手が足りず、明日は空も怪しいのに僅かな田を植え残すことかとつぶやいていると、どこからともなく丈の低い小僧が一人来て、自分も手伝おうと言う。任せて働かせておいたが、昼飯を食わせようと尋ねても見えない。やがて再び帰って来て終日代を掻き、よく働いてくれたのでその日に植え終えた。晩に来て物を食べよと誘ったが、日が暮れても影は見えない。家に帰ると縁側に小さな泥の足跡が数多くあり、次第に座敷へ入ってオクナイサマの神棚の所で止まっていた。扉を開くと神像の腰から下は田の泥にまみれていたという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
定本柳田国男集 第4巻(柳田国男・定本柳田国男集)
『定本柳田国男集 第4巻』は、柳田国男の著作を集めた定本の一巻である。岩手県遠野の伝承を佐々木鏡石から聞いて書いた「遠野物語」、山に入った人や神隠しを論じた「山の人生」、河童・ひだる神・一つ目小僧・天狗などを扱い妖怪名彙を付す「妖怪談義」を収める。ほかに「山人考」「史料としての傳説」「比丘尼石の話」「山人外傳資料」「『イタカ』及び『サンカ』」「山民の生活」など、山人・漂泊民・妖怪をめぐる論考を併せる。