海嘯の後に消えた友の屋敷
どんな伝承か
琴を弾く鈴木鼓村の竹馬の友で、後に仙台の兵営で再び旧交を温めた人に、本吉郡唐桑村の良家の若主人があった。鈴木は大海嘯のすぐ後にこの村へ見舞いに行ってみたが、半島の村の小山には帆の破れた船が乗り上げられており、里には一軒の家も残っていなかった。山の麓にあった友人の屋敷も、ただの荒地であったそうである。その後何の消息も聞かないのは、あるいは家内残らずこの災害に遭ったのではないかと鈴木は思うのだと、柳田は記している。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
定本柳田国男集 第3巻(柳田国男・定本柳田国男集)
『定本柳田国男集 第3巻』は、柳田国男の紀行・日記・随筆を集めた著作集の一巻である。相模・武蔵の村々を歩いた「水曜手帖」、昭和二十三年八月の自序を持つ「北国紀行」、明治四十三年の「五十年前の伊豆日記」、国際聯盟の委任統治委員会に勤めた大正十一年の「瑞西日記」と「ジュネーブの思ひ出 その他」を収める。後半の「菅江真澄」は昭和十七年二月の序を付け、真澄の著述と旅の跡を年を追ってたどり、写真解説を添える。