金沢・鏡花小説の淵源と口碑
どんな伝承か
明治四十二年六月七日、金沢に滞在していた記録者のもとへ石川新聞の記者が訪ねてきた。その夜は宿の按摩を呼んで近くに伝わる口碑をいろいろと語らせたところ、泉鏡花の小説の題材となった話の出どころがあることがわかり、その土地の言葉にも少なからず興味を引かれたという。翌朝には早くに知人が訪ねてきて、この地で亡くなった旧友平田徳次郎の話を聞かされ、こうして働くこともつまらなく感じられたと記している。それでもなお、八時半の汽車で七尾へ向かうことにしたという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
定本柳田国男集 第3巻(柳田国男・定本柳田国男集)
『定本柳田国男集 第3巻』は、柳田国男の紀行・日記・随筆を集めた著作集の一巻である。相模・武蔵の村々を歩いた「水曜手帖」、昭和二十三年八月の自序を持つ「北国紀行」、明治四十三年の「五十年前の伊豆日記」、国際聯盟の委任統治委員会に勤めた大正十一年の「瑞西日記」と「ジュネーブの思ひ出 その他」を収める。後半の「菅江真澄」は昭和十七年二月の序を付け、真澄の著述と旅の跡を年を追ってたどり、写真解説を添える。