鱒留大成の木地屋と平家落武者説
どんな伝承か
丹波では中郡五箇村大字鱒留の大成という一区に木地屋がいた。「中郡誌稿」によれば全戸数二十三戸のうち、小倉を苗字とする者を木地屋まきと呼んでいる。但馬から入って来たと伝えられ、今も宗旨は山向こうの但馬の方と同じであるから、古い移住ではない。小倉善右衛門の家には椀彫りの道具が伝わり、また最初の轆轤を蔵する者もある。ところが一方には、この里を平家の落武者の部落だという説もあった。鱒留の人々は川の上から木地屑が流れて来るのを見て人の住むのを知り、そのままにしておくと但馬の領分になってしまうことを恐れ、鱒留の方からも入り込んで住んだ。田中を苗字とする家がそれであるという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
定本柳田国男集 第4巻(柳田国男・定本柳田国男集)
『定本柳田国男集 第4巻』は、柳田国男の著作を集めた定本の一巻である。岩手県遠野の伝承を佐々木鏡石から聞いて書いた「遠野物語」、山に入った人や神隠しを論じた「山の人生」、河童・ひだる神・一つ目小僧・天狗などを扱い妖怪名彙を付す「妖怪談義」を収める。ほかに「山人考」「史料としての傳説」「比丘尼石の話」「山人外傳資料」「『イタカ』及び『サンカ』」「山民の生活」など、山人・漂泊民・妖怪をめぐる論考を併せる。