一つ家の鬼婆が使った石の枕
どんな伝承か
浅草寺では安永六年三月二十日から六月一日まで境内の神仏を総開帳し、一千年前の石の枕がふたたび評判になった。観世音の縁起にいう磐居の石枕と同じ物かどうかは確かめにくいが、開帳ではこれを姥石と称して見せたらしい。浅草では沙渇羅龍王の化けた姥が、磐居と磐融の二つの石で旅人の頭を砕いたと語られてきたのに、残っているのは一方だけである。寝ている旅人を殺すのに石の枕というだけでも大仕掛けなのに、なぜもう一つの石まで用意したように語りだしたのか、そちらのほうがよほど不思議だと柳田は言う。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
定本柳田国男集 第4巻(柳田国男・定本柳田国男集)
柳田国男編『定本柳田国男集 第4巻』を全822話・伝説(1見出し=1話)単位で収録(緒言・序・名義・解説・和歌・注は除外/内包)。所在地(郡村区・社寺)を付して集成。