井伊直孝を招き入れた寺の猫
どんな伝承か
世田谷村の一隅に、軒は破れ床は落ちた貧しい禅寺があった。住職は自分の食を割いて一匹の猫を飼っており、ある日その頭を撫でながら、この寺の貧しさを察するなら何とか果報を招いてくれまいか、と愚痴をこぼす。数年後、鷹狩りに出た井伊掃部頭直孝の一行が門前を通りかかると、猫が手を挙げて招き、馬の脚に絡んではまた門前へ戻って招く仕草をした。誘われるまま寺で休んだ直孝は折からの夕立を凌ぎ、猫の奇瑞から説き起こす和尚の法話に深く感じ入る。この縁から寛永十五年、直孝は弘徳寺の大檀那となった。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
行楽と史蹟の武蔵野(寺島裕・昭和初期(1920年代~1930年代))