寺の庭で蓑笠姿に化けて踊る盆踊り
どんな伝承か
八月の盆には、この土地の五ヵ所の寺の庭にそれぞれ集まって踊った。蓑を着たり雨笠をかぶったりして化けた恰好をするのが良いとされ、そうした道化がいないと盛り上がらなかったという。「坊様よーホホイエー 山の道ちゃ衣がすれるよー」と唄い、先へ行ったり後ずさったりしながら十二時まで踊り、あとは知っている歌を片端から替歌にして夜明けまで唄った。明治の前から行われ、大正年間まで続いたという。国分の井上音吉が語った。
原典より
寺がここは五ヵ所あるから、その度に庭に集まって、蓑着たり色んな化けた恰好して、今のアメリカのカーニバルと同じだよね、変った恰好すんのがいいんだ。—— 市川の伝承民話 第1集(市川民話の会・市川の伝承民話・1980年(昭和55年)) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
市川の伝承民話 第1集(市川民話の会・市川の伝承民話・1980年(昭和55年))
『市川の伝承民話 第1集』は、市川民話の会が昭和五十五年に編んだ民話の資料集である。市川市教育委員会の事業として昭和五十四年度に千葉県市川市の国分・北国分・行徳・南行徳で行った採訪調査のうち、テープ起こしを終えた語りを、方言も残して話者の息継ぎのままに記録している。世間話・伝説・昔話・唄・生活譚の五部に分けて地区別に並べ、話末に話者・地区・記録者の名を添える。