賽銭を盗った子供らの前に現れた巡査
どんな伝承か
新田から三丁目へ行く道に横町の稲荷があり、穴守稲荷のように鳥居が並んでいる。昔は暮らしが貧しく無尽が流行し、年寄りが当たったら鳥居を上げると願をかけ、当たると白木の鳥居を奉納した。この鳥居を勘定すると家が潰れるといい、数えた人はいない。ある時、子供五人が賽銭箱を揺すると音がするので手を突っ込んで金を取り出した。すると向こうから巡査が来て、隠した物を出せと言う。巡査は自分には見えるのだと言い、稲荷の金を取れば罰が当たると脅した。子供らが金を返してまた取ろうとすると、再びサーベルの巡査が現れた。祖母は稲荷が教えてくれたのだと言い、皆で詣でて謝り、それからは悪いことをしなくなったという。
原典より
昔、新田から三丁目に行くところに、横町のお稲荷さんていって、お鳥居が、たくさんあるんですね。—— 市川の伝承民話 第2集(市川民話の会・市川の伝承民話・1981年(昭和56年)) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
市川の伝承民話 第2集(市川民話の会・市川の伝承民話・1981年(昭和56年))
『市川の伝承民話 第2集』は、市川民話の会が昭和五十六年に発行した民話資料集である。千葉県市川市の曽谷・宮久保・下貝塚と行徳の古老から聞き取った、狐や狢に化かされた話、火の玉、伝説、昔話、唄、暮らしの禁忌や苦労話を、方言を残した語り口のまま記録している。世間話・伝説・昔話・唄・生活譚の五部を地区別に並べて各話の末に話者と記録者を記し、巻末に語り手の紹介、話者と採訪者の名簿、採訪記、あとがきを付す。