追いはぎと古井戸の灯りのはじまり坂
どんな伝承か
曽谷のはじまり坂は、向台の第三中学校へ上がるあたりにあり、はじまり坂一番地といった。夕方には追いはぎが出たという。近くには「はなの下」「さがり松」という名の場所もあり、りすや狐がいた。はじまり屋敷という所には古井戸があって、ぼうっと灯りがともるように見えたが、よく見ると浅草の十二階の灯りが映っていたのだという。坂の上はこのあたりで一番高かったが、市川重工の社宅建設で崖の土が運ばれ、崖は無くなった。松林には烏が朝夕に鳴き、烏が鳴くと不幸があると言う人は年中鳴いていると笑われたが、烏の三度鳴きは人の死を知らせるものだと語られる。
原典より
向台(三中)にあがるところ、はじまり坂一番地って、曽谷にあってね、夕方にはおいはぎが出ました。—— 市川の伝承民話 第2集(市川民話の会・市川の伝承民話・1981年(昭和56年)) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
市川の伝承民話 第2集(市川民話の会・市川の伝承民話・1981年(昭和56年))
『市川の伝承民話 第2集』は、市川民話の会が昭和五十六年に発行した民話資料集である。千葉県市川市の曽谷・宮久保・下貝塚と行徳の古老から聞き取った、狐や狢に化かされた話、火の玉、伝説、昔話、唄、暮らしの禁忌や苦労話を、方言を残した語り口のまま記録している。世間話・伝説・昔話・唄・生活譚の五部を地区別に並べて各話の末に話者と記録者を記し、巻末に語り手の紹介、話者と採訪者の名簿、採訪記、あとがきを付す。