占い婆の言葉で掘り出した三十番神堂の跡
どんな伝承か
三十番神は日ごとに守護の神が定まっている神である。宮久保の高円寺では、話者の祖母の安中ミネが占いをしていて信仰の篤い人だった。彼女は寺のそばの山が崩れたところに昔御堂があったはずだから掘ってみろと檀家に盛んに勧め、半信半疑で掘ってみると土台に使われた玉石が出てきた。人々は驚き、この婆さんの言うことは信用できると、それから占いが繁盛したという。掘り出された跡の御堂が三十番神堂で、復興されたが土台が腐って雨漏りがひどくなり、修復するより建て直そうということで新しい建物にしたと語られる。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
市川の伝承民話 第2集(市川民話の会・市川の伝承民話・1981年(昭和56年))
『市川の伝承民話 第2集』は、市川民話の会が昭和五十六年に発行した民話資料集である。千葉県市川市の曽谷・宮久保・下貝塚と行徳の古老から聞き取った、狐や狢に化かされた話、火の玉、伝説、昔話、唄、暮らしの禁忌や苦労話を、方言を残した語り口のまま記録している。世間話・伝説・昔話・唄・生活譚の五部を地区別に並べて各話の末に話者と記録者を記し、巻末に語り手の紹介、話者と採訪者の名簿、採訪記、あとがきを付す。