乞食に二十度恵んだ富塚の機織り娘おすぎ
どんな伝承か
藤ヶ谷の富塚にニジュウリョウという家があり、そこのおすぎという娘はたいそう器量のよい女であったという。嫁に迎えたいと思った息子の親が、機を織る様子を見ようと乞食のふりをして通った。機は手を休めると緩んでしまうものだが、娘は二十回訪ねて二十回とも、機からきちんと下りて金を恵んだ。感心した相手は「富塚のニジュウリョウのおすぎは、すだれた柳か小柳か」という唄を作ったという。優しい娘の心を説く話として語られた。
原典より
藤ヶ谷の富塚にニジュウリョウ(注・参照)という家があってね、そこのおすぎっていう娘が奇麗ないい女でしたって。—— 市川の伝承民話 第2集(市川民話の会・市川の伝承民話・1981年(昭和56年)) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
市川の伝承民話 第2集(市川民話の会・市川の伝承民話・1981年(昭和56年))
『市川の伝承民話 第2集』は、市川民話の会が昭和五十六年に発行した民話資料集である。千葉県市川市の曽谷・宮久保・下貝塚と行徳の古老から聞き取った、狐や狢に化かされた話、火の玉、伝説、昔話、唄、暮らしの禁忌や苦労話を、方言を残した語り口のまま記録している。世間話・伝説・昔話・唄・生活譚の五部を地区別に並べて各話の末に話者と記録者を記し、巻末に語り手の紹介、話者と採訪者の名簿、採訪記、あとがきを付す。