⑥ きじり
どんな伝承か
昔の行徳の台所は土間が多く、竈は土や煉瓦で壁際に作り付け、燃料には藁をよく燃やした。その藁を置く場所を「きじり」といい、竈の前方の壁や少し離れた横に分厚い荒壁で仕切りを付けて、一日か二日分の藁を置いておいた。下駄や火箸がよく紛れ込み、猫の格好の寝床にもなった。竈ときじりはごく近いのに、そこから火の不始末が起きることはなかったと伝えられる。
原典より
むかしの台所は、土間の家が多かったそうで、御飯炊きなどは、かまど、といって、土や煉瓦で壁ぎわに、作りつけてありまして、燃料は、よく藁をもやしていました。—— 市川の伝承民話 第2集(市川民話の会・市川の伝承民話・1981年(昭和56年)) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
市川の伝承民話 第2集(市川民話の会・市川の伝承民話・1981年(昭和56年))
『市川の伝承民話 第2集』は、市川民話の会が昭和五十六年に発行した民話資料集である。千葉県市川市の曽谷・宮久保・下貝塚と行徳の古老から聞き取った、狐や狢に化かされた話、火の玉、伝説、昔話、唄、暮らしの禁忌や苦労話を、方言を残した語り口のまま記録している。世間話・伝説・昔話・唄・生活譚の五部を地区別に並べて各話の末に話者と記録者を記し、巻末に語り手の紹介、話者と採訪者の名簿、採訪記、あとがきを付す。