豊年を寿ぐ下貝塚の田植え唄
どんな伝承か
市川市下貝塚の松丸くにが、聞き手に語って聞かせた田植えの唄である。今年は豊年で穂に穂が咲き、道の傍らにまで米がなる、という文句で、豊作を寿ぐ内容になっている。松丸は唄い終えてから、この唄を知っているかと聞き手に問い返しており、若い世代にはもう伝わっていないことがうかがえる。同じ聞き取りの席では、ぜんまいわらびの首がなぜ曲がったかを歌う子どもの唄や、掛け合いで唄った盆踊り唄も語られた。田植えの日には襦袢を出し、帯を締めてきれいに装って田に入ったものだと松丸は懐かしんでいる。
原典より
5 盆踊り唄V 年中行事大野1 天王さまの講 七月二十三日下貝塚1 十二日講と農休日 毎月2 オビシャ 正月~二月3 門松の段階 正月4 菖蒲湯 五月五日—— 市川の伝承民話 第6集(市川民話の会(調査・編集)/市川市教育委員会(発行)・市川の伝承民話・1998年(平成10年)) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
市川の伝承民話 第6集(市川民話の会(調査・編集)/市川市教育委員会(発行)・市川の伝承民話・1998年(平成10年))
『市川の伝承民話 第6集』は、市川民話の会が調査・編集し、市川市教育委員会が平成十年に発行した民話資料集である。昭和六十三年度から平成四年度にかけて市川市の下貝塚・八幡・平田・本行徳・香取などで聞き取った世間話・伝説・昔話・唄・年中行事・生活譚を、話者の語りに忠実に記録している。各話に話者と記録者を添え、新たに「現代若者の学校話」の部を設けて口裂け女や学校の七不思議などの怪談も収め、話者名簿・採訪者名簿・あとがきを付ける。