高張り提灯の狐に回された三人
どんな伝承か
語り手が二十歳ぐらいの頃、曽谷のカマヤのしげおほか三人で、矢切に大蛇が出たというので朝から握り飯を腰に提げて見に出かけた。国府台からはすぐの道のはずが、いくら歩いても分からず、真っ暗になっても着かない。やがて狐が高張り提灯を点けてぐるぐると回り、三人は田の畔をいつまでも回らされていた。そのときは少しも気づかなかったという。曽谷のゼンニムのケンサカに「おめえら何をしてこんなそばにいるんだ、もう晩飯を食っている」と声を掛けられて我に返ると、朝に出たまま国分新田の練兵場のあたりに居たと語る。
原典より
――あと、狐のね、火かなんかは見たことあります?そんなの見たこと、見たことねえけど狐は回されましたよ。—— 市川の伝承民話 第6集(市川民話の会(調査・編集)/市川市教育委員会(発行)・市川の伝承民話・1998年(平成10年)) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
市川の伝承民話 第6集(市川民話の会(調査・編集)/市川市教育委員会(発行)・市川の伝承民話・1998年(平成10年))
『市川の伝承民話 第6集』は、市川民話の会が調査・編集し、市川市教育委員会が平成十年に発行した民話資料集である。昭和六十三年度から平成四年度にかけて市川市の下貝塚・八幡・平田・本行徳・香取などで聞き取った世間話・伝説・昔話・唄・年中行事・生活譚を、話者の語りに忠実に記録している。各話に話者と記録者を添え、新たに「現代若者の学校話」の部を設けて口裂け女や学校の七不思議などの怪談も収め、話者名簿・採訪者名簿・あとがきを付ける。