朝星夜星で九十銭という職人の手間賃
どんな伝承か
話者は職人の親方の家に生まれ育った。大正期の職工組合の工費表を見ながら、当時の職人は朝から晩まで働いて九十銭と言われたと語る。大工の人工は二円二十銭だが、これは道具などの元手を抱える親方に入る額で、職人は三食の飯代八十銭を払うと手元にはわずかしか残らなかった。それでも職人の数は少なく、皆腕利きだったという。表にあるキリンはジャッキ、ウェインチはウィンチ、タコは地固めの道具でヨイトマケに使った。家には今も道具が多いが、娘三人で継ぐ者がなく、市に寄付しようかと話している。
原典より
4 コロッケは五銭5 付け火とセンリツ強盗平田2 平田の川3 舟のこと4 馬車5 大正六年の津波6 関東大震災—— 市川の伝承民話 第6集(市川民話の会(調査・編集)/市川市教育委員会(発行)・市川の伝承民話・1998年(平成10年)) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
市川の伝承民話 第6集(市川民話の会(調査・編集)/市川市教育委員会(発行)・市川の伝承民話・1998年(平成10年))
『市川の伝承民話 第6集』は、市川民話の会が調査・編集し、市川市教育委員会が平成十年に発行した民話資料集である。昭和六十三年度から平成四年度にかけて市川市の下貝塚・八幡・平田・本行徳・香取などで聞き取った世間話・伝説・昔話・唄・年中行事・生活譚を、話者の語りに忠実に記録している。各話に話者と記録者を添え、新たに「現代若者の学校話」の部を設けて口裂け女や学校の七不思議などの怪談も収め、話者名簿・採訪者名簿・あとがきを付ける。