河童が教えた貼り薬「十三枚」
どんな伝承か
佐原の新島には川太郎どんと呼ばれる河童が住んでいた。そのあたりの水草を毎日取っていく若者がいて、川太郎が不服に思って訳を尋ねると、村に医者がいないので水草を干して怪我人を治したい、と言う。感心した川太郎は若者にだけ黄色い練り薬の作り方を教えた。何年か後、足に大怪我をして江戸の医者にも治せなかった相撲の横綱が、新島に良い貼り薬があると聞いて駕籠でやって来る。薬を布に伸ばして一日一枚ずつ替え、十三日目、十三枚で傷は癒えた。以来この薬も若者も十三枚と呼ばれ、日本一と評判を取って地名にまでなった。村では今もきゅうりの初物に「かっぱ様」と書いて川太郎に供え、子どもの川遊びの無事を願う。
原典より
佐原市新島に、昔、川太郎どんと呼ばれる河童がいた。—— 房総の伝説(平野馨) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
房総の伝説(平野馨)
『房総の伝説』は、平野馨が安房・上総・下総の旧三国、ほぼ今の千葉県に伝わる伝説を選んで編んだ資料集である。ホトトギスやワラビの由来、片葉の芦や頼朝の箸の杉、弘法の井戸、将門や八幡太郎の話、坂戸神社の人身御供、証誠寺の狸など、動植物・石・池・地名・家・祭りにまつわる伝説を市町村名を添えて記す。はしがきに示す自然伝説・歴史伝説・信仰伝説の三部に分け、解説や論評を加えずに書き連ね、似た話のある土地も併せて挙げる。