竜神が鮭を供えた山倉大六天
どんな伝承か
山田町山倉の山倉大六天は山倉様と呼ばれ、鮭との縁が深く鮭の大六天ともいわれる。縁起によれば弘仁年間、弘法大師が夏の三か月をここに籠もって断食の修行をし人々の幸福を祈ると、たちまち奇瑞が現れ、竜神が毎夜灯明をささげ鮭を供えたという。祭りはもと十一月初卯の日で、その日が近づくと毎年鮭が栗山川を遡ってきた。利根川からも九十九里の海からも十数キロ離れたこの地に鮭が来るのは神威の表れと考えられ、鮭は神の魚として「おしゃけ」と呼ばれ、供物とした後に参詣者へ分け与えられた。大六天と見える模様のある鮭をひそかに食べた男がたちまち命を落としたという話もあり、鮭を粗末にできないという考えを伝えている。
原典より
香取郡山田町山倉にある山倉大六天は、俗に山倉様と呼ばれ、あらたかな霊験をもって知られた。—— 房総の伝説(平野馨) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
房総の伝説(平野馨)
『房総の伝説』は、平野馨が安房・上総・下総の旧三国、ほぼ今の千葉県に伝わる伝説を選んで編んだ資料集である。ホトトギスやワラビの由来、片葉の芦や頼朝の箸の杉、弘法の井戸、将門や八幡太郎の話、坂戸神社の人身御供、証誠寺の狸など、動植物・石・池・地名・家・祭りにまつわる伝説を市町村名を添えて記す。はしがきに示す自然伝説・歴史伝説・信仰伝説の三部に分け、解説や論評を加えずに書き連ね、似た話のある土地も併せて挙げる。