紅龍が島をつくった布施弁天の縁起
どんな伝承か
柏市の布施弁天は紅龍山東海寺といい、関東三弁天の一つに数えられ、多宝塔の形をした珍しい鐘楼がある。縁起によると、大同二年(八〇七)七月、紅い龍が突然里に現れて湖に島をつくり、自分は但馬の国から、貧しいこの土地を救いにやって来た、怖がらずに島を訪ねてくるようにと告げた。里人が島へ行ってみると、洞穴の中に三寸あまりの弁財天の像があったので、さっそく山の上にまつった。その後、弘法大師が東国を巡ってこの像を拝んだところ、かつて自分が彫ったものだと分かり、その不思議に心を打たれて寺を建てたと伝える。
原典より
多宝塔の形式という、類例少ない鐘楼のある柏市の布施弁天は、紅龍山東海寺といい、関東三弁天のひとつに数えられている。—— 房総の年輪 より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
房総の年輪
『房総の年輪』は、房総各地の伝説・昔話・信仰の伝承地を一項ずつ取り上げた短い文章を集めたもので、著者と刊行の事情は原典に記されていない。香取の要石や真間の手古奈堂、松虫姫、源頼朝や義経の伝説地、沈鐘伝説、椀貸伝説、河童や天狗、海の怪異「もうれん」などを、『譚海』『上総国誌稿』や市町村の民話集を引きながら所在地とともに記す。各項は読み切りの小文で、昭和四十五年と四十七年の年頭に書かれた項を含む。