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加茂川の風光と鴨川節

所在地千葉県鴨川市
年代伝承
登場道興准后、「回国雑記」に当地を詠んだ僧
出典日本伝説叢書 安房の巻

どんな伝承か

山を源として五里を流れ海岸に達する加茂川は、安房一の巨流である。河口から海上一里の沖にある海馬島には海馬が常に群れ集まり、夜になると声を挙げて鳴き、人の心を騒がせるという。海を望み鏡が浦を控えた鴨川町前原の里は山海ともに風致があり、太平洋に臨む磯の里には荒磯と四つの島があって、網を繋ぎ網を曝す景がひときわ趣深い。道興准后も「回国雑記」に、前原の里の後の山颪舟に紅葉の錦つむなり、と詠んでいる。この地に自ずと作り出された鴨川節の一節は、旅人の心を動かさずにはおかないという。なお鴨川町大字磯の松島一帯では、土地の習慣として決して松に肥を繋ぐことを許さないという。

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※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません

出典の文献について

日本伝説叢書 安房の巻(藤沢衛彦・日本伝説叢書・1919年(大正8年))

『日本伝説叢書 安房の巻』は、藤沢衛彦が大正八年に編んだ安房国(千葉県)の伝説集である。天富命の渡来や源頼朝・里見氏・日蓮にまつわる英雄伝説を中心に、社寺の縁起、風俗・信仰、船幽霊や一本足の蛸などの特異な伝承を、『安房志』『房総志料』などの地誌や寺伝・口碑から引いて収める。緒言と「安房国と牛」と題する序を巻頭に置き、鋸山から小湊まで各話に所在の郡村大字を添えて土地ごとに並べ、緒言では百八十六種を蒐集したと記す。

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