こけしに身を変えたと思われた猫
どんな伝承か
いわき市のある家では九年間、タロという名のシャム猫の雄を飼っていた。呼べば返事をし、外から帰ると玄関先でウェーと鳴いて挨拶をするような賢い猫だった。夜は人が二階へ上がるより先に寝床にもぐり込み、朝は一緒に起きた。去年の九月二十五日に死んだが、その前夜、母はおかっぱ頭の女の子を負ぶって「死んだけどまた生き返った」と言う夢を見たという。仙台にいた語り手も、その前夜に急にタロの写真を飾らねばという気になり、夢で一緒に遊んだ。タロは床の間のこけしのわきで昼寝をするのが常だったので、こけしに身を変えたとも思われた。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
現代民話考 1 河童・天狗・神かくし(松谷みよ子・現代民話考・1970年代)
松谷みよ子『現代民話考 1 河童・天狗・神かくし』を小話単位で全532話収録。河童・天狗・神かくしにまつわる現代の民話・怪異譚を全国から採集し、地域・話者つきで収録する。各話に採集地(都道府県・市区町村)と話者・回答者を可能な範囲で付す(県判明530話・市区町村判明477話、戦地や場所不明の話を含む)。原典は読者からの投稿・採訪に基づく現代民話の集成。