お大師さんに拝んで解けた猫の道迷い
どんな伝承か
隠岐の島前で話者が体験した話。船乗りの次兄を見送るため、提灯を持って母と三人で後鳥羽院の裏道を上っていくと、大きな猫がさっと前を横切った。猫に前を横切られると化かされると言われている。石仏と呼ばれるお大師さんの所まで来ると、道がいくつにも分かれて見え、三人ともどの道を行けばよいか分からなくなった。母が、ここにお大師さんがあるはずだと言って一心に拝み、船に間に合うよう道を教えてくださいと念仏を唱えると、急に行くべき道がはっきり分かったという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
現代民話考 10 狼・山犬、猫(松谷みよ子・現代民話考)
『現代民話考 10 狼・山犬、猫』は、松谷みよ子が日本民話の会の『民話の手帖』での呼びかけやアンケート、聞き書きで全国から集めた話を編んだ現代民話の資料集である。明治以降を目安に、狼への畏れと信仰、送り狼や千匹狼、化け猫や猫の踊り、戦中の猫の供出、水洗トイレを使う猫までを収める。序文と各章の前文に続いて「狼・山犬」「猫」の二章を主題別の節に分け、各話例の後に類話の採集地・話者・出典を「分布」として並べる。