引越し先へ帰った飼い猫
どんな伝承か
近所に越してきた一家から仔猫を一匹もらい受け、ここの猫は人間よりも大事にされていると言われるほど可愛がって七、八年が過ぎた。娘が修学旅行に出る朝、猫の元気がないというので、旅行から戻ってから病院へ連れて行くことにし、娘を送り出して帰ってみると猫の姿がない。近所まで探しても見つからず、猫は死ぬときに姿を見せないというから、どこか人の目につかぬ所で死んだのだろうと思っていた。何年か後、市場で偶然その一家の奥さんに出会い、猫がいなくなったと詫びると、猫は引越し先の奥さんの母のもとへ帰ってきて、二、三日して死んだと聞かされたという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
現代民話考 10 狼・山犬、猫(松谷みよ子・現代民話考・1970年代~1980年代推定)
松谷みよ子『現代民話考 10 狼・山犬、猫』を小話単位で全541話収録。狼・山犬・猫にまつわる現代の民話・怪異譚(送り狼・化け猫など)を全国から採集し収録する。各話に採集地(都道府県・市区町村)と話者・回答者を可能な範囲で付す(県判明535話・市区町村判明490話、戦地や場所不明の話を含む)。原典は読者からの投稿・採訪に基づく現代民話の集成。