子規が跨げず迷った馬車鉄道の軌条
どんな伝承か
正岡子規が松山から十七歳で上京したのは明治十六年六月十四日の朝である。三津浜から汽船で神戸へ出て、さらに横浜まで来て上陸し、そこから汽車に乗って新橋駅へ着いた。本郷にいる友人を訪ねようと歩き出したものの、小伝馬町通りに鉄道馬車のレールが敷かれているのを見て足が止まる。またいでよいものかどうか大いに迷い、他人がまたぐのを見てから、ようやくこわごわとまたいだのだった。
原典より
回答者・中村博(東京都在住)。—— 現代民話考 12 写真の怪・文明開化(松谷みよ子・現代民話考(立風書房)第十二巻・1996年(平成8年)) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
現代民話考 12 写真の怪・文明開化(松谷みよ子・現代民話考(立風書房)第十二巻・1996年(平成8年))
『現代民話考 12 写真の怪・文明開化』は、松谷みよ子が一九九六年にまとめた現代民話の資料集で、同シリーズの第十二巻にあたる。雑誌での呼びかけやアンケート、聞き書きで寄せられた話と新聞・雑誌の記事を、心霊写真をめぐる怪異と、明治以降の電信・汽車・電気燈などの新しい文物や流行病に戸惑う人々の話に分けて収める。話例ごとに本文を掲げて各地の類話を分布として並べ、話者や回答者の名と出典を添える。