白木屋の動く階段を歩き出した父
どんな伝承か
昭和の初めから中頃にかけての話。姉が年老いた父を東京の白木屋へ連れて行った。階段が動くエスカレーターの前で、ここに立っていればよい、歩くと人に笑われるから立っていなさいと姉が言い聞かせ、父も承知した。ステッキはどうするかと聞くので、持ったままでよいから立っていなさいと念を押したのだが、乗せた途端に父はてくてく歩き始めた。姉が後ろへ回って帯を掴み止めようとすると、歩けないから邪魔をするなと言い張ったという。
原典より
回答者・中村博(東京都在住)。—— 現代民話考 12 写真の怪・文明開化(松谷みよ子・現代民話考・1990年代初期(平成初期)) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
現代民話考 12 写真の怪・文明開化(松谷みよ子・現代民話考・1990年代初期(平成初期))
松谷みよ子『現代民話考 12 写真の怪・文明開化』を小話単位で全550話収録。心霊写真など写真の怪と、文明開化期の怪異にまつわる現代の民話を全国から採集し収録する。各話に採集地(都道府県・市区町村)と話者・回答者を可能な範囲で付す(県判明496話・市区町村判明377話、戦地や場所不明の話を含む)。原典は読者からの投稿・採訪に基づく現代民話の集成。