掘る前夜に夢へ出た無縁墓の仏
どんな伝承か
昭和五十一年十一月半ば、いとこから聞いた夢の話。いとこは買っておいた土地に家を建てようとしたが、山際に古い墓があり、調べても誰の墓か分からない。掘って供養することにした前夜、夢を見せられた。墓から白髪の爺さんが出てきてうれしそうに腰をおろし、その向こうで子供が三、四人つれだって遊んでいる。気味悪くなって消えてくれと言っても消えず、線香の煙を立てるとようやく消えた。翌朝掘ると大人の骨ばかり出たので、子供の骨もあるはずだと掘らせたところ、長持ちに子供の骨が重なって入っていた。天保の飢饉で一人ずつ埋葬できず、長持ちごと土に入れた仏だという。骨は寺に納めて供養し、以後は良いことばかり続いたと伝わる。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
現代民話考 4 夢の知らせ・火の玉・ぬけ出した魂(松谷みよ子・現代民話考)
『現代民話考 4 夢の知らせ・火の玉・ぬけ出した魂』は、松谷みよ子が編んだ「現代民話考」の一冊である。日本民話の会の雑誌『民話の手帖』のアンケートへの回答や聞き書き、新聞・雑誌の記事から集めた、予知夢や死の知らせの夢、死者や神仏の夢告げ、死の前後に出る火の玉、生きている人から抜け出す魂の話を各地から収める。三章それぞれの冒頭に編者の論考「考」を置き、項目ごとに代表的な語りと、県別に並べた短い報告を話者・回答者・出典を添えて載せる。