病室で見た死に神の夢
どんな伝承か
昭和五十四年一月、脊椎カリエスの病名で彼女は東北大学病院に入院した。背中の痛みが続き、寝返りをうつことさえできない。医師の話から、夫はあと数ヵ月ということもあると思った。夫は朝夕病室へ寄り、眠れない日が多く、夜ふけまで布団の中で日記をつけた。一月二十日、足がガクガクし腰がしびれるという妻の言葉に、いよいよ転移がそこまで来たかと思う。二十三日、妻は今朝、死に神の夢を見たと語った。青白い顔をした目のグルグルした女が手を引っ張り、夫や子どもたちを呼んだら長女が助けてくれたのだという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
現代民話考 4 夢の知らせ・火の玉・ぬけ出した魂(松谷みよ子・現代民話考・昭和50年代~60年代(推定))
松谷みよ子『現代民話考 4 夢の知らせ・火の玉・ぬけ出した魂』を小話単位で全513話収録。夢のお告げ・予知夢、火の玉、ぬけ出した魂(離魂)など、心と生死の境にまつわる現代の民話を全国から採集し収録する。各話に採集地(都道府県・市区町村)と話者・回答者を可能な範囲で付す(県判明482話・市区町村判明386話、戦地や場所不明の話を含む)。原典は読者からの投稿・採訪に基づく現代民話の集成。