稲荷の大杉を伐った木樵の衰弱死
どんな伝承か
昭和二五年ごろの話。北房の山田では、稲荷の境内に大人三人が手をつないでも回りきれないほどの杉の大木が立っていた。境という所の山へ林道を通す費用を作るため、宮地の木樵に頼んでこの杉を伐り倒してもらった。ところが木樵はまもなく得体の知れない病にかかる。豊田の神主や堂のお大師に拝んでもらうと、稲荷の大杉の祟りだと告げられた。木樵は杉の苗を持って行って植えたけれども、体はいよいよ衰えるばかりで、伐ってから半年ほどで亡くなったという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
現代民話考 9 (木霊・蛇)(松谷みよ子・現代民話考)
『現代民話考 9 (木霊・蛇)』は、松谷みよ子が全国の回答者から寄せられた報告と各地の民話集をもとに編んだ『現代民話考』の一巻である。明治から平成にかけて語られた、伐ろうとすると祟る木・泣く木・血を流す木などの木霊の話と、大蛇やつちのこ、蛇婿・蛇女房、主や守り神としての蛇、蛇と福運などの話を、話者や回答者の名とともに収める。第一章「木霊」と第二章「蛇」を主題ごとの節に分け、各話例の後に「分布」として類話の地名と出典を並べる。