竹藪を切った護岸だけが崩れた台風
どんな伝承か
一九八九年のこと。岩村町では河川の改修と道路の拡張のため岩村川の護岸工事を行い、街を出はずれたところにあった竹藪を切り払うよう地主に要望した。進んだ工法で施工するので大水が出ても大丈夫だという。地主の一人A氏は要望を入れて竹藪を切ったが、B氏は昔からある竹藪だからと承知しなかった。町は仕方なくA氏側だけを切って頑丈に護岸工事をした。二年後の九月、台風二一号が猛烈な集中豪雨をもたらすと、大丈夫だったはずの護岸側はあっという間に崩れて道路が大きく欠壊し、手をつけなかったB氏の竹藪側は何の被害もなかった。コンクリートで固めた護岸が崩れるさまは、まるで煎餅を割るようにあっけなかったという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
現代民話考 9 (木霊・蛇)(松谷みよ子・現代民話考)
『現代民話考 9 (木霊・蛇)』は、松谷みよ子が全国の回答者から寄せられた報告と各地の民話集をもとに編んだ『現代民話考』の一巻である。明治から平成にかけて語られた、伐ろうとすると祟る木・泣く木・血を流す木などの木霊の話と、大蛇やつちのこ、蛇婿・蛇女房、主や守り神としての蛇、蛇と福運などの話を、話者や回答者の名とともに収める。第一章「木霊」と第二章「蛇」を主題ごとの節に分け、各話例の後に「分布」として類話の地名と出典を並べる。