柾木の稲荷の白蛇を売った男
どんな伝承か
柾木の稲荷という小さなお稲荷さんがあり、昔から白蛇がいるといわれていた。大正三年、近所の人がその二尺ほどの白蛇を捕まえて蛇屋へ売った。蛇屋は看板にし、三つ目の蛇屋に白蛇がいると評判になった。ただで見せてはつまらないというので空き地を借りて木戸銭を取ったが、それでも人は金を払って見に行った。評判になると、捕まえたときは何とも思わなかった当人が、周りから白蛇は神様だ、今にろくなことはないと言われて怖くなり、蛇屋に渡さないでくれと頼んだ。蛇屋は手放さず、当人は気が狂ったようになって死んだ。皆が蛇の祟りだと言い、蛇屋も怖くなって蛇を逃がしたという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
現代民話考 9 (木霊・蛇)(松谷みよ子・現代民話考)
『現代民話考 9 (木霊・蛇)』は、松谷みよ子が全国の回答者から寄せられた報告と各地の民話集をもとに編んだ『現代民話考』の一巻である。明治から平成にかけて語られた、伐ろうとすると祟る木・泣く木・血を流す木などの木霊の話と、大蛇やつちのこ、蛇婿・蛇女房、主や守り神としての蛇、蛇と福運などの話を、話者や回答者の名とともに収める。第一章「木霊」と第二章「蛇」を主題ごとの節に分け、各話例の後に「分布」として類話の地名と出典を並べる。