狐に連れ去られたワラビ採りの子
どんな伝承か
大正のころ、語り手が若かった時分に、村の子ども三、四人でワラビ採りに出かけた。一人の女の子がいじめられてすね、帰り道の山の入口でしゃがみ込んだまま、声をかけても手を引いても動かない。ほかの子は先に帰ったが、その子は暗くなっても戻らなかった。村中で提灯を手に山を捜し、炭焼きに聞くと、夕方に犬を連れた子が奥へ行くのを見たという。狐が子を連れて行ったのだと分かったが、一晩捜しても見つからず、翌日、山を二つ三つ越えた吉浦の山奥でうずくまる子をようやく見つけた。子はよその母親に誘われてついて行ったと話した。狐は炭焼きには犬に、子にはよその母親に見えたのである。
原典より
オラ若けとき、大正のころの話だが、ムラの子供ら三、四人でワラビ採りに行ったことがある。—— 村上市史 民俗編 下巻(村上市史) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
村上市史 民俗編 下巻(村上市史)
『村上市史 民俗編 下巻』は、新潟県村上市の市史の民俗編から、口承の節(伝説・世間ばなし・謎とことわざ)を抜き出したものである。地名・神社・寺や仏・地蔵・水・人・動植物・塞の神・杖の跡に分けた伝説と、狐や河童、火の玉、山の神などの世間ばなしを、土地の言葉の語りのまま採集地を添えて収める。義経が跳び越えた一跳山、三面川の小助島、岩船の大火など、村上市内の土地に結びついた話が中心である。