化けた狐を懲らしめた喜之丈
どんな伝承か
語り手が若いころ、喜平次どんの家に喜之丈という人がいた。おどけ者だが頭の切れる人で、あるとき瀬波松原へ行くと、穴の中で狐が気持ちよさそうに昼寝をしていた。いたずら好きの喜之丈は穴に小便をかけて帰った。怒った狐は友人に化けて呼びに来たが、喜之丈は戸の節穴から尻尾がのぞくのを見て正体を見破った。そこで節穴から紐を出し、狸を縛るところだから端を握って決して離すなと頼むと、狐は懸命に紐を引いた。その隙に喜之丈は後ろへ回って棒で狐を打ちすえ、狐はすっかり正体を現して泣きながら瀬波松原へ逃げ帰ったという。
原典より
オラ若いとき、喜平次どんに、喜之丈サという人がいだった。—— 村上市史 民俗編 下巻(村上市史) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
村上市史 民俗編 下巻(村上市史)
『村上市史 民俗編 下巻』は、新潟県村上市の市史の民俗編から、口承の節(伝説・世間ばなし・謎とことわざ)を抜き出したものである。地名・神社・寺や仏・地蔵・水・人・動植物・塞の神・杖の跡に分けた伝説と、狐や河童、火の玉、山の神などの世間ばなしを、土地の言葉の語りのまま採集地を添えて収める。義経が跳び越えた一跳山、三面川の小助島、岩船の大火など、村上市内の土地に結びついた話が中心である。