弔いの夜道に現れた死者の火の玉
どんな伝承か
昔、新町に住む親戚の老人が亡くなり、知らせを受けた語り手たち三人は提灯を下げて出かけた。秋の冷たい風が吹く夜更けのことだった。畑や松の木のある小道を行くと、黄色とも薄赤ともつかない、ぼんやりした火の玉が一行の先に立って、跳ねるように進んでいった。連れの老女が、あれは亡くなったばかりの爺様の魂が別れを告げに来たのだと耳打ちし、語り手は背筋が冷たくなった。火の玉はしばらく前を進んでいたが、曲がり角でふわりと飛んで消えてしまったという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
村上市史 民俗編 下巻(村上市史)
『村上市史 民俗編 下巻』は、新潟県村上市の市史の民俗編から、口承の節(伝説・世間ばなし・謎とことわざ)を抜き出したものである。地名・神社・寺や仏・地蔵・水・人・動植物・塞の神・杖の跡に分けた伝説と、狐や河童、火の玉、山の神などの世間ばなしを、土地の言葉の語りのまま採集地を添えて収める。義経が跳び越えた一跳山、三面川の小助島、岩船の大火など、村上市内の土地に結びついた話が中心である。