娘を引き込んだ先途のお池の主
どんな伝承か
昔、先途という所には家が三軒あり、日当たりのよい場所だった。先途のある娘が毎朝池を鏡にして髪をとかしていると、池の主がそれを見初め、どうしても嫁にしたいと思うようになった。主は蛇の身を人の姿に変えて娘と恋仲になったが、ある時ふとしたことで仲がこじれ、怒った主は娘を池へ引きずり込んだ。池は荒れ狂って一面の崩れ地となり、池そのものが消えた。崩れた石は峰を越えて富山の大谷まで落ち、浅かった虫川はひどく深くなって、今は水がずっと下を流れている。三軒あった家も流され、一軒だけになったという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
長野県史 民俗編 第5巻 総説 1 (概説)
『長野県史 民俗編 第5巻 総説1(概説)』のことばと伝承の章から、伝説の節を抜き出したものである。長野県全体の伝説を、デーラボッチャ・小泉小太郎・甲賀三郎・黒姫・八面大王・鬼女紅葉・ものぐさ太郎・弘法大師・白米城・早太郎・猫檀家・かっぱ・逆さ木・池の主・人柱・首塚などの題ごとにまとめ、本話のあとに県内各地の類話を地名つきで並べる。県史の地域編と重なる話も多い。