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男装して車を挽いていた武家の娘

所在地東京都港区
年代明治〜昭和
登場時次郎、水上エイの男装時の名
出典日本怪奇集成-明治大正昭和篇

どんな伝承か

明治八年五月のある夜、身投げをしようとした人力車夫を巡査が抱き止め、芝の警視分庁で調べたところ、芝西応寺町の島田某方に同居する時次郎二十歳と分かった。車に敷く借蒲団を質入れし、その代金五十銭が払えず借主に打擲された無念と貧苦から死を計ったのだという。ところが姿形にどこか女らしいところがあり、車夫仲間で「女の時」と仇名されていたため厳しく取り調べ、無理にもろ肌をぬがせると女であることが露見した。実は元甲府勤番組水上忠左衛門の娘エイで、明治元年に官軍が進撃した際に親兄弟とはぐれ、親を捜すため十五歳で男装し、車を買って稼いでいたのであった。

原典より

と、堅く口をつぐんでいわぬので、警官もいよいよ不審を深くし、さらば「肌をぬいで見せろ」と、無理にもろ肌をぬがしてみると、乳はふくらかで、たしかに女であることが暴露されたので、…—— 日本怪奇集成-明治大正昭和篇(富岡直方 編著) より引用
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※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません

出典の文献について

日本怪奇集成-明治大正昭和篇(富岡直方 編著)

『日本怪奇集成-明治大正昭和篇』は、富岡直方が編んだ怪奇実話集である。明治元年から昭和七年までに各地で起きた幽霊や狐狸の怪、畸形や奇病、天変や奇瑞、世相の珍事を、当時の新聞・雑誌の記事と筆者自身の聞き書きから集めている。明治・大正・昭和の三篇に分け、話ごとに年月を掲げて通し番号を振り、新聞記事を引いたうえで紙名を末尾に添える形を基本とする。

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