好物の人糞を断たれ発狂した水兵
どんな伝承か
呉の海兵団にいた二等機関兵の綱島という水兵は、十二、三歳の少年のころ、何かのはずみで一度人糞を口にしてからその味が忘れられず、以来人目を忍んでは汚い所から掬い出して食べていた。成人して海軍の軍人になってからも、この癖はやめられなかった。しかし兵営での暮らしに入ると、それまでのように自由に口にすることができなくなった。それがかえって体にさわったのか、しだいに健康が衰え、ついには気が狂ってしまったという。筆者はこれを集めた記録から採っている。
原典より
しかし、水兵生活に入ってからは、今までのように、自由に人糞を食べることができず、それが身体に害を及ぼしたか、だんだん健康が衰えて行って、遂に気が狂ってしまったという。—— 日本怪奇集成-明治大正昭和篇(富岡直方 編著) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本怪奇集成-明治大正昭和篇(富岡直方 編著)
『日本怪奇集成-明治大正昭和篇』は、富岡直方が編んだ怪奇実話集である。明治元年から昭和七年までに各地で起きた幽霊や狐狸の怪、畸形や奇病、天変や奇瑞、世相の珍事を、当時の新聞・雑誌の記事と筆者自身の聞き書きから集めている。明治・大正・昭和の三篇に分け、話ごとに年月を掲げて通し番号を振り、新聞記事を引いたうえで紙名を末尾に添える形を基本とする。