摩利支天の霊夢で裏山を掘り続ける老人
どんな伝承か
奥州栗駒山のほとりに、三十年前に見た夢のお告げを信じて宝の山を掘り続けている変わった老人がいた。宮城県栗原郡尾松村大字館前に住む藤原彦七(六十五)という大工で、藤原秀衡の後裔だという。三十三歳のとき、夢に摩利支天が現れ、家の裏山には先祖秀衡が軍資金として埋めた宝物や黄金が今もそのままになっていると告げた。爾来、彦七は毎日きちんと羽織袴を着て身を清めたうえで、根気よく掘り続けている。すでに三千円を投じ、発掘場所は六尺四方、深さ百尺の大穴となり、水が溢れ出したので二十馬力の発動機まで据えて排水しているという。百尺ほど掘ったころから奥底に美しい鶏の鳴き声が聞こえ出したとも語っている。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本怪奇集成-明治大正昭和篇(富岡直方編著・日本怪奇集成・昭和初期(推定昭和2-3年))
明治・大正・昭和の怪奇譚(日本怪奇集成)/生首と幽霊の怪/狐狸のいたずら/怪盗と世相の怪異/各時代の不思議な事件