座敷に降り積もった百数十枚の飛び銭
どんな伝承か
飛び銭の話は各地で聞かれる。仙台市の繁華街のひとつ東一番丁は、むかしその南部を塩倉丁といった。ここに大町刑部頼利の屋敷があった。刑部が昼寝をしていると、ぱちん、ぱちん、と音がする。起きて見ると塀の向こうから小石を投げ込む者がいる。童子のいたずらかと表に出ても誰もいない。またの非番の日、家にいると、しゅ、しゅ、と音がして座敷に銅銭が投げ込まれた。投げ銭は止まず、あわせて百数十枚になった。登城して物識りの侍に語ると、これは飛び銭といって昔からよく聞く話だ、と答えたという。のちに仙台藩主五代伊達吉村がこの話を聞き、飛び銭を見たいというので献上したが、普通の銅銭と変わらなかった。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
怪談の世界(山田野理夫・昭和中期(1977年頃))
ザシキワラシ(座敷童子)と福の神(怪談の世界)/遠野・東北の怪異伝承/家運の盛衰と怪音/妖怪と幽霊譚/山田野理夫の怪談採集