桜の咲く砂利道を歩いた幼児
どんな伝承か
秋田市の話。語り手がまだ幼稚園の頃、家の者が作ったイカの塩辛にあたって高熱を出し、ひきつけを起こした。本人はほとんど覚えていないが、砂利道の両側に桜の花がいっぱい咲いているところを、一人でどこまでも歩いて行ったことだけは記憶に残っている。気がつくと腕に大きな注射器が刺さっていた。母に、今いっぱい花の咲いているところへ行ってきたと言うと、母は、お前は死んでいたのだ、よく助かってくれたと泣いた。医者は、もう五分遅かったら助からなかったと言ったという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
現代民話考 ― 死の知らせ・あの世へ行った話(松谷みよ子・民話・口承文芸・2003年(平成15年))
『現代民話考 ― 死の知らせ・あの世へ行った話』は、松谷みよ子が編んだ現代の民話の聞き書き集で、二〇〇三年一月付の文庫版まえがきを持つ筑摩書房の文庫版である。一九七八年に発刊された『民話の手帖』を通じて全国から寄せられた回答を中心に、臨死体験、死の知らせ、寺へ来る死者、生まれかわりの話を収める。「あの世へ行った話」「死の話」「生まれかわり」の三章の冒頭に編者の論考を置き、細目ごとに所在地・話者・出典を添えた類話を並べる。