浅葱色の空の下を歩く野原
どんな伝承か
沢渡吉彦が寄せた話である。昭和四十年頃の夏近くのこと。私の歩いている野原は、ぽかぽかしたよい日和であった。空はきれいな浅葱色、野原の草が美しく萌えている。あたりには誰もいない。静かだが淋しくはなく、小鳥も啼いているようだ。私は痛くも苦しくもなく、いい天気だなと振り向きたいほどであった。あとから気がついたのだが、自分は倒れたまま寝込んで医者にかかっており、結論は血圧が高かったらしい。あの鮮やかな野原はあの世だったらしい。野原を歩いている自分の姿も客観的に見たようだ。あの世はよかったと語っている。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
現代民話考 ― 死の知らせ・あの世へ行った話(松谷みよ子・民話・口承文芸・2003年(平成15年))
『現代民話考 ― 死の知らせ・あの世へ行った話』は、松谷みよ子が編んだ現代の民話の聞き書き集で、二〇〇三年一月付の文庫版まえがきを持つ筑摩書房の文庫版である。一九七八年に発刊された『民話の手帖』を通じて全国から寄せられた回答を中心に、臨死体験、死の知らせ、寺へ来る死者、生まれかわりの話を収める。「あの世へ行った話」「死の話」「生まれかわり」の三章の冒頭に編者の論考を置き、細目ごとに所在地・話者・出典を添えた類話を並べる。