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亡父に吊られ願正寺の墓地へ

所在地佐賀県佐賀市高木町(願正寺)
年代昭和二十年
登場柳三郎
出典現代民話考 ― 死の知らせ・あの世へ行った話

どんな伝承か

佐賀県佐賀市城内の回答者の話。昭和二十年五月、旧満州国通化省通化街に私の事務所があった。当時三十四歳の私は急性肺炎と診断されて意識不明となり、三昼夜が過ぎた。その夜、暗い道を歩くと見渡す限りの花畑で月がこうこうと照っていた。あまりの美しさに嘆声を上げながら前へ行こうとすると、急に首筋をつかまれて空中につり上げられた。振り返ると、三年前に佐賀の自宅で高血圧のために亡くなった父であった。父は闇の中を私を掴えたまま飛び、故郷佐賀の高木町にある願正寺の裏の墓地の前へ降ろすと、穴を掘って私を首だけ残して埋め込んだ。遠くで呼ぶ声が聞こえ、眼が覚めた。

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※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません

出典の文献について

現代民話考 ― 死の知らせ・あの世へ行った話(松谷みよ子・民話・口承文芸・2003年(平成15年))

『現代民話考 ― 死の知らせ・あの世へ行った話』は、松谷みよ子が編んだ現代の民話の聞き書き集で、二〇〇三年一月付の文庫版まえがきを持つ筑摩書房の文庫版である。一九七八年に発刊された『民話の手帖』を通じて全国から寄せられた回答を中心に、臨死体験、死の知らせ、寺へ来る死者、生まれかわりの話を収める。「あの世へ行った話」「死の話」「生まれかわり」の三章の冒頭に編者の論考を置き、細目ごとに所在地・話者・出典を添えた類話を並べる。

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