滋賀までついてきた針道の父の霊
どんな伝承か
福島の針道に住む利根川優子の伯父が亡くなったときのことである。伯父には男の子ばかり四人あり、三人は近くに住んでいたが、三番目のこうじだけは遠く滋賀県の、器などを創る芸術家の家へ婿養子に行っていた。伯父はそれを不憫がり、いつも可哀想だと言っていたという。その伯父が癌で亡くなり、葬式を済ませたこうじが福島から新幹線を乗り継いで滋賀へ戻るあいだじゅう、火葬にしたはずの父親が悲しそうな顔でずっとついてくる。養家に着いてもそばに立っているので、たまりかねて針道の母親に電話をし、早く成仏するよう拝んでほしいと頼んだ。母親が一心に拝むと、やがて姿は見えなくなったという。
原典より
二年ほど前、五所川原市の近郊を採訪していて、和島秀子さんという四十すぎの主婦から、死んで生き返ったという人の話を聞くことができた。—— 現代民話考 ― 死の知らせ・あの世へ行った話(松谷みよ子・民話・口承文芸・昭和) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
現代民話考 ― 死の知らせ・あの世へ行った話(松谷みよ子・民話・口承文芸・昭和)
松谷みよ子『現代民話考 ― 死の知らせ・あの世へ行った話』を小話単位で全699話収録。死の知らせ・予兆、あの世(地獄・極楽)へ行った話、死者からのサイン、生まれかわりなど、生死とあの世にまつわる現代の民話を全国から採集し地域・話者つきで収録する。各話に採集地(都道府県・市区町村)と話者・回答者を可能な範囲で付す(県判明606話・市区町村判明489話、戦地や場所不明の話を含む)。原典は読者からの投稿・採訪に基づく現代民話の集成。